テンミニッツTV|有識者による1話10分のオンライン講義
ログイン 会員登録 テンミニッツTVとは
社会人向け教養サービス 『テンミニッツTV』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
DATE/ 2018.02.27

夜型人間はリスクが多い?その理由と改善方法

 朝型人間と夜型人間、あなたはどっちですか。大げさではなく、実は朝型か夜型かによって生き方も大きく変わります。そもそも、朝型と夜型はどうやって決まるのでしょうか。ここにはカラダのリズムをめぐる意外な事実が隠されているのです。

遺伝的に決められた体内時計

 朝型と夜型はどうやって決まるのか、まず思い当たるのは生活習慣。たとえば、仕事が深夜の時間帯までかかることが多くなって、とか、寝る前にネットサーフィンしたり、深夜番組を観るクセがついてしまって、とか、だんだん夜型の生活リズムになってしまうことが考えられます。

 たしかに、こうした生活習慣の影響は少ないはずです。ですが、もっと根本的な問題があることが指摘されています。遺伝子の影響です。

 体内には遺伝的に決定された時計があります。時差ボケにかかったことのある方は体内に時計があることを強く実感したことがあるはずです。この遺伝的な体内時計によって、そもそもの朝型、夜型の生活習慣が決まっている可能性があると指摘されているのです。言い換えれば、朝型と夜型のタイプは遺伝的影響であるために変えたくてもなかなか変えることはできないということでもあります。しかも、なんとも不公平なことに夜型タイプの人にはリスクやデメリットがあると言われています。

夜型タイプの健康リスク

 夜型タイプの人にはどんなデメリットがあるのでしょうか。「教えて!gooウォッチ」の記事によると、早稲田大学先進理工学部の柴田重信教授は、夜型タイプの人は朝食欠如率が高いためメタボリックシンドロームになる可能性が高いこと、また、質の良い睡眠がとれていないことと関連して学業成績も良くない傾向にあることを指摘しています。

 学業成績は仕事とも言い換えることができるでしょう。質の良い睡眠は仕事力ともおおいに関係します。質の良い睡眠がとれないとパフォーマンスが悪くなるのは誰もが実体験として感じていることではないでしょうか。

 また、ハフィントンポストの記事では朝型タイプの方が「うつになる危険性が低い」と指摘しています。

寝る前のスマホ断ちから始めよう!

 かりに遺伝的に決まっているとしても、リスクがあるなら誰だって改善したいと思うはずです。学業成績や仕事に影響があるということは、すなわち収入にも差がでるということでもあります。

 希望はあります。実は「すべてが遺伝で決まる」という考え方は正しいとは言えません。氏か育ちかという問題は専門家のなかでも意見が分かれています。『やわらかな遺伝子』(マット・リドレー著、紀伊国屋書店)という本にそのことが詳しく書かれているのですが、今のところ、生まれも育ちも両方とも同じくらい影響があるという見方がバランスのとれた意見だと思います。

 そうなると、夜型を改善したい人にもチャンスはあるということです。先ほどの柴田教授は「極端な朝型」も健康には良くないことを指摘しつつ、朝型と夜型の中間型を目指すべきことを伝えています。そのために少しずつでいいので就寝時間と起床時間を早めていくこと、朝食をきちんととることをすすめています。また、よく言われていることですが、寝る前のスマホもなるべくやめたほうがいいでしょう。スマホの画面から発せられるブルーライトは寝不足の原因になると言われています。

 寝る前のスマホ断ち、少しずつの早寝早起き、朝食をとること、できることから少しずつ始めていってみてはいかがでしょうか。

<参考サイト>
・教えて!goo :朝型・夜型になる原因、遺伝子が関係していた!
https://oshiete.goo.ne.jp/watch/entry/2f3e192f08e2a6861de6800e672b1ae2/
・HUFFPOST:朝型の人が違う7つの点
http://www.huffingtonpost.jp/2014/04/10/morning-people-lark-early-bird_n_5089968.html
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
雑学から一段上の「大人の教養」はいかがですか?
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,300本以上。 『テンミニッツTV』 で人気の教養講義をご紹介します。
1

『失敗の本質』より先に指摘した日本型組織の弱点

『失敗の本質』より先に指摘した日本型組織の弱点

『タテ社会の人間関係』と文明論(7)日本型組織とリーダーシップの問題

日本軍研究で知られる『失敗の本質』よりも前に、日本型組織の弱点を指摘していた『タテ社会の人間関係』。日本の軍隊と英米の軍隊を例にとって、人間関係を重視する日本型組織の特徴を鋭く指摘、さらに法然と弟子の話を取り上...
収録日:2024/05/27
追加日:2024/09/19
2

オウンゴールも!?ロシアにとって許しがたいNATO拡大の背景

オウンゴールも!?ロシアにとって許しがたいNATO拡大の背景

ロシアのハイブリッド戦争と旧ソ連諸国(1)ロシアの勢力圏構想とNATO拡大

長期化の様相を呈しているロシア・ウクライナ戦争。ウクライナに対してロシアが仕掛けているのは、多角的な手段を用いた「ハイブリッド戦争」である。それはいったいどのような戦略なのか。本シリーズ講義では、まずはこの戦争...
収録日:2024/07/25
追加日:2024/09/18
廣瀬陽子
慶應義塾大学総合政策学部教授
3

人の資本主義とは――新しい人間像と現代資本主義への警鐘

人の資本主義とは――新しい人間像と現代資本主義への警鐘

人の資本主義~モノ、コトの次は何か?(1)「人の資本主義」とは何か

「人間とは何か」「資本主義とは何か」、この二つの問い、その概念は歴史の上で常に変化し続けているという中島氏。「人の資本主義」は人と資本主義の合成語だが、両者を結合するとどのような反応がもたらされるか。今よりもよ...
収録日:2024/04/11
追加日:2024/07/27
中島隆博
東京大学東洋文化研究所長・教授
4

どうすれば「最高の睡眠」は実現するか…健康な睡眠とは?

どうすれば「最高の睡眠」は実現するか…健康な睡眠とは?

「最高の睡眠」へ~知っておくべき睡眠常識(1)健康な睡眠のための方法

人生の約3分の1を、人は寝て過ごす。人間にとって不可欠な「睡眠」について、まだ分かっていないことが多く、睡眠ストレスや寝不足に悩む人は多い。現代人はどのように生活すれば最高の睡眠を得られるのだろうか。その前に、そ...
収録日:2021/06/23
追加日:2021/09/14
西野精治
スタンフォード大学医学部精神科教授
5

生物学的性差と文化的ジェンダー概念の入れ子構造の難しさ

生物学的性差と文化的ジェンダー概念の入れ子構造の難しさ

ヒトの性差とジェンダー論(5)生物学的性差と文化

第二次世界大戦下、その影響で飢餓が続いたオランダで集団としてそのときに生まれた男の子にゲイが多いという話がある。それは母親が極度のストレスを受けた生物学的影響だというが、一方で日本の戦国時代のような戦場で見られ...
収録日:2024/05/18
追加日:2024/09/16
長谷川眞理子
日本芸術文化振興会理事長