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DATE/ 2021.12.14

「働かないおじさん」と思われる人の特徴

 2021年4月に改正された高年齢者安定雇用法では、70歳までの就労機会確保を企業の努力義務とすることになりました。そんな中で懸念されることのひとつは、会社のお荷物、給料泥棒、そんな風に言われてしまう「働かないおじさん」の増加です。高給をもらいながらろくに働かないおじさん社員に憤りを感じている人も多いかもしれませんが、40代の人でもこの先20~30年働き続ける間にそんな存在にならないとは言い切れません。

こんな社員が「働かないおじさん」と呼ばれています

「働かないおじさん」と呼ばれてしまう人には、どんな特徴があるのでしょうか。実際に職場の働かないおじさん社員に辟易している方々にもヒアリングしてみました。もしかして予備軍?と自覚のある人も改めて認識しておきましょう。

【席にあまり居ず、社内をうろうろし、すぐ喫煙室に行く】
 仕事を円滑に進めるには社内コミュニケーションも大切ですが、同期や昔の部下などに「調子はどお?」と声を掛け社内をうろつく人や、たばこ休憩が多い人は「働かないおじさん」と思われてる傾向が。営業職でもないのに、なぜかいつも自席にいないタイプはサボりの常習犯として見られています。

【昔語りが多く、雑談や噂話をしている時間が長い】
 自分の過去の偉業や武勇伝は語るのに「じゃあ今は何をしているの?」と思われている働かないおじさん。社内通で口が達者なため”仕事している風”を装うのは上手で、新人からは「すごい人かも」と思われることもありますが、手や足は動かさず口ばかり。すぐ化けの皮が剥がれてしまいます。

【ITスキルが低く、分からないことは若手に丸投げ】
 ネットサーフィンは得意なのに、エクセルやパワーポイント、オンライン会議などは苦手で、いつまでも苦手のまま部下や若手に頼りっきりのタイプも「働かないおじさん」と思われがち。好奇心や向上心がないだけなのに、PCを使うことはあくまで手段で、本来の仕事ではないと思っている傾向も。

【システム導入や新規提案などに反対し、変化を嫌う】
 上記のIT苦手おじさんと同じく、新しいことや変化についていける胆力がなく、とにかく事なかれ主義で現状維持を守ろうとする人も「働かないおじさん」と見られています。仕事を増やしたくない、今さら勉強したくない、出来ないことを晒したくない、そんなやる気のなさを指摘する声も。

【真面目にコツコツは得意だが、能動的には動かない】
 入社以来真面目にコツコツ働いてきたが、年齢や肩書きに見合った責任ある役目を果たせない人も残念ながら「働かないおじさん」。「部長なのに最低限しか得意先に顔を出さない、部下の仕事にコミットしてこないで事務作業ばかり」というように、能動的に動かない人は働いていないと見なされることも。

「働かないおじさん」本人は、ラクなのか?ツラいのか?

 上記のような働かないおじさんが生まれてしまう背景には、多くの日本企業の終身雇用、年功序列といったシステムが影響していると言われています。大企業であれば出世ルートから外れたとしても年齢や社歴によってある程度の給料は約束されており、部下なし管理職として安定だけは与えられている人も多く、頑張っても頑張らなくても、給料がさほど変わらないのならラクをしたいと、働くモチベーションが上がらないというケースも少なくありません。

 筆者が実際に以前勤務していた企業でも、社長賞をもらったり、売上げ拡大に大きく貢献した華々しい伝説のある上司が、今は全くやる気ナシといった状況を目にして驚いた経験が。自分が生き生きと働ける現場を離れ管理職になった段階でエコな働き方を選択してしまったのか、結局高額な早期退職金を貰える機会に一番乗りで退職。もしかしたら「働かないおじさん」として会社に残り続けるのが辛かったのかもしれません。

 「働かないおじさん」として扱われることは、そもそも楽しいことではありません。「働かないおじさん」を「働くおじさん」に変えるのはなかなか難しいですが、これからの世代は「働かないおじさん」にならないために、新しいスキルや価値を学ぶ姿勢や、異動や肩書きの変化の度に自分をアップデートしていく覚悟が必要です。それを70歳近くまで実践できる人がどれだけいるのかはさておき、スペシャリストとしての分野や経験値を持っていれば、若い時と同じようにガツガツ働けなくても重宝される局面もあるはず。自分のペースで「働くおじさん」になれるのではないでしょうか。

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