テンミニッツTV|有識者による1話10分のオンライン講義
ログイン 会員登録 テンミニッツTVとは
社会人向け教養サービス 『テンミニッツTV』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
DATE/ 2023.11.08

人はなぜ乗り物に酔うのか?原因と対策

 旅行や遠出など楽しいイベントがあると心躍りますが、乗り物酔いしやすい人にとっては車での移動は気が重い…という人もいるでしょう。そもそもなぜ乗り物酔いが起こってしまうのか、予防する方法や気を付けるべきポイントは何なのかを調べてみました。

乗り物酔いのメカニズム

 乗り物酔いには、目や耳、脳が大きく関係していて、自律神経の働きが乱れることによって引き起こされます。

 私たちの耳には三半規管や耳石器という器官があり、平衡感覚をつかさどる役割を果たしています。乗り物に乗る時は通常時と異なり、不規則な上下左右の揺れや急停車の繰り返しにより、これらの器官から通常よりも多くの情報が脳に伝えられます。ちなみに、乗り物に乗っている時には移動速度も早くなるため、目から得られる情報もいつもより多くなりますよね。つまり、乗り物に乗ることで脳には目、耳からの情報量がいきなり増えてしまうため、処理できなくなり、自律神経の働きを低下させてしまうのです。

 自律神経は血圧や呼吸、胃腸の働きをコントロールしているので、これらの働きが低下すると顔面蒼白や眠気、あくび、そして吐き気や嘔吐の症状が引き起こされます。これが、乗り物酔いが起こるメカニズムとなっているのです。
 

酔わないための予防法

 乗り物酔いを起こさないためには、乗る前と乗っている時に対策をとることが大切です。

 乗り物に乗る前にできる予防法としては、体調を万全に整えておくことが第一にあげられます。体調不良や寝不足は自律神経の働きを乱す原因になりますし、空腹や満腹の状態も乗り物酔いを引き起こしやすくしてしまいます。

 乗り物に乗る時には、脳への情報量が増えすぎないように気を付けましょう。三半規管や耳石器を刺激しないために揺れが激しいタイヤの近くの席は避ける、速いスピードで移り変わる景色を追いかけると目が疲れてしまうので遠くの景色を見るようにするといったことも予防になります。また、乗り物に揺られながらスマホの画面や本を見続けるのも、眼球が不規則な動きになってしまうため、乗り物酔いの原因になることも。負担を減らすためにも、乗り物に酔いやすい人は避けた方が良いでしょう。

 また、乗り物酔いしたくないと思いすぎてプレッシャーを感じていると、それが乗り物酔いの原因になることもあります。不安な場合には酔い止めをあらかじめ飲んでおくだけでなく、しめつけの少ないゆったりした服装を選んだり、おしゃべりをして気を紛らすといった、リラックスできるようにしておくのも効果的です。

乗り物酔いしてしまったときには

 対策をしていてもその時の体調や乗り物の揺れ具合によって乗り物酔いしてしまうことはありますよね。その場合、一番良いのは乗り物から降りて休憩することです。脳が混乱する原因を取り除くこともできますし、外の空気を吸うことでリラックスできます。

 渋滞に巻き込まれているなど、乗り物から降りるのが難しい場合には座席を倒すなどリラックスできる状況を作るのが良いでしょう。目をつむって深く深呼吸するだけでも脳を休ませることができます。また、腕の内側、手首のしわからひじ側へ指3本分の場所にある内関など、乗り物酔いに効くツボもあるので、自分でツボを押してみるのも良いでしょう。

 乗り物酔いのメカニズムがわかることで、とるべき対策もお分かりいただけたのではないでしょうか。まずは乗る前に体調を整えるところから、ぜひ実践してみてください。
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
より深い大人の教養が身に付く 『テンミニッツTV』 をオススメします。
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,300本以上。 『テンミニッツTV』 で人気の教養講義をご紹介します。
1

『失敗の本質』より先に指摘した日本型組織の弱点

『失敗の本質』より先に指摘した日本型組織の弱点

『タテ社会の人間関係』と文明論(7)日本型組織とリーダーシップの問題

日本軍研究で知られる『失敗の本質』よりも前に、日本型組織の弱点を指摘していた『タテ社会の人間関係』。日本の軍隊と英米の軍隊を例にとって、人間関係を重視する日本型組織の特徴を鋭く指摘、さらに法然と弟子の話を取り上...
収録日:2024/05/27
追加日:2024/09/19
2

オウンゴールも!?ロシアにとって許しがたいNATO拡大の背景

オウンゴールも!?ロシアにとって許しがたいNATO拡大の背景

ロシアのハイブリッド戦争と旧ソ連諸国(1)ロシアの勢力圏構想とNATO拡大

長期化の様相を呈しているロシア・ウクライナ戦争。ウクライナに対してロシアが仕掛けているのは、多角的な手段を用いた「ハイブリッド戦争」である。それはいったいどのような戦略なのか。本シリーズ講義では、まずはこの戦争...
収録日:2024/07/25
追加日:2024/09/18
廣瀬陽子
慶應義塾大学総合政策学部教授
3

人の資本主義とは――新しい人間像と現代資本主義への警鐘

人の資本主義とは――新しい人間像と現代資本主義への警鐘

人の資本主義~モノ、コトの次は何か?(1)「人の資本主義」とは何か

「人間とは何か」「資本主義とは何か」、この二つの問い、その概念は歴史の上で常に変化し続けているという中島氏。「人の資本主義」は人と資本主義の合成語だが、両者を結合するとどのような反応がもたらされるか。今よりもよ...
収録日:2024/04/11
追加日:2024/07/27
中島隆博
東京大学東洋文化研究所長・教授
4

どうすれば「最高の睡眠」は実現するか…健康な睡眠とは?

どうすれば「最高の睡眠」は実現するか…健康な睡眠とは?

「最高の睡眠」へ~知っておくべき睡眠常識(1)健康な睡眠のための方法

人生の約3分の1を、人は寝て過ごす。人間にとって不可欠な「睡眠」について、まだ分かっていないことが多く、睡眠ストレスや寝不足に悩む人は多い。現代人はどのように生活すれば最高の睡眠を得られるのだろうか。その前に、そ...
収録日:2021/06/23
追加日:2021/09/14
西野精治
スタンフォード大学医学部精神科教授
5

生物学的性差と文化的ジェンダー概念の入れ子構造の難しさ

生物学的性差と文化的ジェンダー概念の入れ子構造の難しさ

ヒトの性差とジェンダー論(5)生物学的性差と文化

第二次世界大戦下、その影響で飢餓が続いたオランダで集団としてそのときに生まれた男の子にゲイが多いという話がある。それは母親が極度のストレスを受けた生物学的影響だというが、一方で日本の戦国時代のような戦場で見られ...
収録日:2024/05/18
追加日:2024/09/16
長谷川眞理子
日本芸術文化振興会理事長