テンミニッツTV|有識者による1話10分のオンライン講義
ログイン 会員登録 テンミニッツTVとは
社会人向け教養サービス 『テンミニッツTV』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
DATE/ 2016.08.25

高学歴・高収入の女性が結婚できないのは本当?

 女性の未婚率の上昇や晩婚化を受けて、「高学歴・高収入の女性は縁遠くなる」というような言葉を耳にするようになりました。結婚相談所では、そのような女性の成婚は簡単ではないと言っているところもありますが、学歴が低く低収入の女性の方が結婚しやすいというわけでもなさそうです。

 高学歴・高収入の女性が結婚しにくいと言われている理由はどこにあるのか。その恋愛・結婚事情を探ってみました。

結婚できないのは、理想が高過ぎるから?

 この高学歴・高収入の女性の恋愛・結婚問題について、早稲田大学国際教養学部の森川友義教授が「恋愛学」の講座でも取り上げて、話題になりました。多くの女性が自分を上回る学歴や収入を男性に求めている現実を受け、森川教授はその恋愛学に触れた記事(<大学生の恋愛事情と「恋愛学」のすすめ>)の中で、「自分より年収を多くもらい、一流と呼ばれる大学を卒業している男性もいなくはないだろうが、そのような男性と首尾よく出会い、気に入られ、恋愛関係に入る確率は、条件をふさない場合に比べて、相当低いことが予想される」として、高学歴・高収入の女性にとって恋愛や結婚への壁が高いことを指摘しています。

 女性の多くが男性に自分と同等、あるいは自分を上回った学歴や収入を求めているのは否定できない事実。まして高学歴・高収入の女性となると、大学は東大や早慶クラス、年収は1000万円以上などと、さらにその基準が高くなります。実際に年収1000万円以上の男性は世の中の1パーセントほどですから、ストライクゾーンはかなり狭くなります。また、高学歴の女性は、教育を十分に受けられる裕福な家庭で育った人が多く、今ある経済的な水準を結婚によって下げられない、下げたくないという特徴も。

 加えて男性は、「結婚相手の女性が自分より学歴も収入も上なのはちょっと…」という意見が大半。「女性に負い目を感じたくない」という男性のプライドからか、自分より高学歴・高収入の女性は無意識に恋愛対象から外してしまうという人も多いようです。

 男性側からは好まれにくく、本人自身も結婚相手へのハードルを高くしている。つまり、双方に要因があることも高学歴・高収入女性がなかなか結婚できない理由として、指摘されているのです。

ハイスペックな結婚がしたいなら、ハイスペックな環境へ

 しかし、高学歴・高収入女性であっても実際に結婚している人が多くいることも現実です。

 当スタッフも高学歴といわれる大学を卒業しましたが、当時のゼミメンバーの女性10人を調べたところ、全員40歳前に結婚していることが分かりました。そのうち半数を越える6人は同級生や先輩など、同じ大学の男性と20~30代前半で結婚。学生時代にすでに結婚相手を確保していた例が多いのです。また、職場恋愛で結婚した女性も一流企業に就職している人が多いからか、お相手も高学歴・高収入の男性がほとんどでした。

 東大を卒業した女性の半数以上が夫も東大出身者というデータもあり、高学歴の女性は、高学歴男性と結婚している割合は決して低くありません。高学歴・高収入女性の、恋愛・結婚の対象となる男性の絶対数は少ないかもしれませんが、わざわざいろいろな場所に出掛けていかなくても、自分の学校や職場といった近い環境に高学歴・高収入の男性が多いのです。ですから、普段の環境でハイスペックな相手と出会い、恋愛し、結婚する確率は高くなるという長所があることも事実なのです。

 ちなみに、意外かもしれませんが、専業主婦には高学歴女性の割合が高いのです。それは、夫が多忙かつ高収入の仕事をしていて、経済的に安定しているケースが多いためだといわれています。

 「いくら勉強が出来て、いい会社に入っても、女の子は幸せになれない」などと言う人もいますが、それは一部の話なのかもしれません。大切なのは結婚できるかどうかではなく、ふさわしい相手に出会えるかどうか。自分を磨いてその価値を上げ、より良い環境へ身を置くことが、理想の結婚相手とめぐりあえることにつながるのではないでしょうか。

<参考サイト>
http://www.yomiuri.co.jp/adv/wol/opinion/society_081125.html
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
雑学から一段上の「大人の教養」はいかがですか?
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,300本以上。 『テンミニッツTV』 で人気の教養講義をご紹介します。
1

『失敗の本質』より先に指摘した日本型組織の弱点

『失敗の本質』より先に指摘した日本型組織の弱点

『タテ社会の人間関係』と文明論(7)日本型組織とリーダーシップの問題

日本軍研究で知られる『失敗の本質』よりも前に、日本型組織の弱点を指摘していた『タテ社会の人間関係』。日本の軍隊と英米の軍隊を例にとって、人間関係を重視する日本型組織の特徴を鋭く指摘、さらに法然と弟子の話を取り上...
収録日:2024/05/27
追加日:2024/09/19
2

オウンゴールも!?ロシアにとって許しがたいNATO拡大の背景

オウンゴールも!?ロシアにとって許しがたいNATO拡大の背景

ロシアのハイブリッド戦争と旧ソ連諸国(1)ロシアの勢力圏構想とNATO拡大

長期化の様相を呈しているロシア・ウクライナ戦争。ウクライナに対してロシアが仕掛けているのは、多角的な手段を用いた「ハイブリッド戦争」である。それはいったいどのような戦略なのか。本シリーズ講義では、まずはこの戦争...
収録日:2024/07/25
追加日:2024/09/18
廣瀬陽子
慶應義塾大学総合政策学部教授
3

人の資本主義とは――新しい人間像と現代資本主義への警鐘

人の資本主義とは――新しい人間像と現代資本主義への警鐘

人の資本主義~モノ、コトの次は何か?(1)「人の資本主義」とは何か

「人間とは何か」「資本主義とは何か」、この二つの問い、その概念は歴史の上で常に変化し続けているという中島氏。「人の資本主義」は人と資本主義の合成語だが、両者を結合するとどのような反応がもたらされるか。今よりもよ...
収録日:2024/04/11
追加日:2024/07/27
中島隆博
東京大学東洋文化研究所長・教授
4

どうすれば「最高の睡眠」は実現するか…健康な睡眠とは?

どうすれば「最高の睡眠」は実現するか…健康な睡眠とは?

「最高の睡眠」へ~知っておくべき睡眠常識(1)健康な睡眠のための方法

人生の約3分の1を、人は寝て過ごす。人間にとって不可欠な「睡眠」について、まだ分かっていないことが多く、睡眠ストレスや寝不足に悩む人は多い。現代人はどのように生活すれば最高の睡眠を得られるのだろうか。その前に、そ...
収録日:2021/06/23
追加日:2021/09/14
西野精治
スタンフォード大学医学部精神科教授
5

生物学的性差と文化的ジェンダー概念の入れ子構造の難しさ

生物学的性差と文化的ジェンダー概念の入れ子構造の難しさ

ヒトの性差とジェンダー論(5)生物学的性差と文化

第二次世界大戦下、その影響で飢餓が続いたオランダで集団としてそのときに生まれた男の子にゲイが多いという話がある。それは母親が極度のストレスを受けた生物学的影響だというが、一方で日本の戦国時代のような戦場で見られ...
収録日:2024/05/18
追加日:2024/09/16
長谷川眞理子
日本芸術文化振興会理事長