●DXとアメリカ経済の進展
今日は少しGX(グリーントランスフォーメーション)とDX(デジタルトランスフォーメーション)について、お話しさせていただきたいと思います。
ご存じのように、DXというのはデジタル技術をテコにして社会や企業のビジネスモデルを大きく変えて、経済を大きく前進させてみたいと(いう動き)。GXのほうはグリーンですから、気候変動問題対応で、再生可能エネルギーや水素ネットワーク、電気自動車のような新しいものへのチャレンジによって社会変革をすることで、経済を大きく変えてみたい(という動き)。これが今、日本の政策の中で非常に重要な意味を持ってきています。
この背景にあるのは、特にDXについては、これが世界的なトレンドになってきているということです。アメリカが最も顕著ですが、GAFAに代表されるように、デジタルテクノロジーが社会を変える原動力になって成長につながっている。そこで、日本でもこれが非常に大事だということだろうと思います。
このキーワードは「創造的破壊」ということに尽きると思います。創造的破壊は、皆さんもご存じだと思いますが、20世紀の有名な経済学者シュンペーターによると、「資本主義経済がサクセスする一番のポイントはイノベーションであり、イノベーションの一番の本質は創造的破壊である」と。つまり、既存の仕組みを壊していくことによって、その先に新しいものが生まれていく。それによって初めて本質的な成長が出てくるのだということです。
アメリカの社会はまさにそういう状態です。この10年のアメリカの経済発展について、株価で見れば最も顕著ですが、GAFAにマイクロソフトも入れていいと思いますけれども、デジタルイノベーターの存在感が圧倒的になっています。もしも、ああした企業がなければ、アメリカの経済も日本と大して違わないパフォーマンスだったと思います。
例えば、GAFAとは全然違うGMやフォードがトヨタに比べて特に優れているとも思えませんし、GEが日立に比べて優れているわけでもない。アメリカの経済が圧倒的に強くなったのは、デジタル企業であるグーグルやアップル、フェイスブックやアマゾン、マイクロソフトが、まさに社会を破壊しながら新しくつくってきたということだと思うわけです。
●GX戦略の難しさと創造的破壊
ですから、日本にとってもDXが非常に重要であるというこ...