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精神科でいま一番の問題をwebアプリで解決!

うつ病治療最前線(3)多剤併用と「アン‐サポ」の可能性

渡部芳德
介護老人保健施設ひもろぎの園 創設者
概要・テキスト
ひもろぎGROUP理事長・東邦大学薬学部客員教授の渡部芳德氏が治療の現場でいま一番問題としているのが多剤併用だ。そこで渡部氏は、多くの精神科医の善意と努力を無駄にせず、患者も治療を励みにできるようにとwebアプリ「アン‐サポ」を開発した。東日本大震災をきっかけに生まれたアン‐サポの効果と可能性に迫る。(シリーズ全4話中第3話)
時間:09:49
収録日:2015/09/03
追加日:2015/11/12
タグ:
≪全文≫

●多剤併用という問題


 ひもろぎ心のクリニックの渡部と申します。よろしくお願いします。

 うつ病をテーマとしたお話の3回目ですけれども、多剤併用の改善のwebアプリの「アン‐サポ」をご紹介します。精神科の中でいま一番問題になっているのが、たくさんのお薬を使っている多剤併用ということです。

 われわれは1剤、2剤とか、平均2剤ちょっとぐらいで治療していますけれども、実際非常にたくさんのお薬を飲んでいる方が、セカンドオピニオンを求めてわれわれのクリニックに来られています。ここに今スライドを示していますが、実際ある精神科、心療内科で処方されている例で、見てみますと、大体11剤の薬を飲んでいます。実際にCP換算値で見てみると、向精神薬の換算値で1900ミリグラム、それから抗うつ剤の換算値でいうと150ミリぐらい、抗不安薬の換算値、ジアゼパムの換算値60ミリグラムということで、非常にたくさんの薬を飲んでいる方がいらっしゃいます。

 実際にこの方が薬局に行って、「こんなに薬を飲んでも死なないんでしょうか。大丈夫なんでしょうか」と聞かれたときに、薬剤師さんは何と答えていいか分からなかったというぐらいに、非常に数が多いということです。これは、何も精神科医がたくさん薬を飲ませたいというのではなく、症状をよくしたいという表れでしているのでしょうけれども、やはりたくさんの薬を併用されている患者さんもおられるということです。国は、数を減らすということで薬剤規制を最近行うようになりましたが、非常にたくさんの薬を処方されていると実感している人が多いのではないかなと思います。


●「スケール」で患者の状態を把握


 われわれは、自己記入式のうつ病と不安症状のスケールを持っています。これは、私たちが大体10年ぐらい前から外来の患者さんに用いているのですけれども、このように自分でデータとして、毎回毎回受診した時に症状を書いて、自己記入式で行っています。いま外来では、患者さんがiPadを使ってデータベースに入れています。そうすることによって、ご本人も今どういう状態になっているのか、あるいは、薬局でもクリニックの受付でも、この患者さんが今日どのぐらいの状態で来ていて、次に来てくれる時によくなっているのか悪くなっているのかを瞬時に分かるようにしたのが、われわれのクリニックで独自につくった...
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