●惑星とは何か
「現在の宇宙の姿」の第2回です。「太陽系から星の世界へ」というお話しをします。
太陽系は、中心の太陽とその周りを回る惑星、惑星の周りを回る衛星、さらには彗星などのさまざまな小天体、これらからできています。2006年以前は、太陽系の惑星の順番を覚えるときに、「水金地火木土天海冥」というように覚えていました。ところが、観測技術が進んでくると、この海王星の外側(冥王星のあたり)に、小さな天体がたくさんあることが分かってきました。その中には、冥王星と同じくらいの大きさの天体も見つかってきました。そこで、では惑星とは何かという話が出てきました。
実はそれまでは、「惑星というのはこういうものだ」という定義がなかったのです。空の上で、明るくて普通の星と違う動きをするものをなんとなく惑星と呼んでいたわけです。ところが、海王星の外側にいろいろな天体が見つかったことで困ったことになって、2006年の8月にチェコのプラハで開かれた国際天文学連合の総会で、惑星の定義を議論して決めることになりました。そこで採択された定義によると、「冥王星は惑星ではない」ということになったわけです。
●冥王星には太陽系外縁天体という新しい地位が与えられた
このことは、世の中に結構な波紋を巻き起こしました。「冥王星は惑星から降格された」とか、中には「冥王星は無くなった」というとんでもない話まで、出てきました。しかし、実は冥王星は、降格されたのでも、もちろん無くなったわけでも、ありません。正解をいえば、観測技術の進歩によって新しく見えてきた、「太陽系外縁天体」という新しい種族の中の一族である、「冥王星型天体」の盟主として新たな地位を与えられたのです。
このことは、学校現場にも大きな影響を与えるので、私たちは学校現場が混乱しないようにこの事実を正しく記述したパンフレットを作って、全国の小中高4万校に配布しました。この他にもいろんな活動をしてこの知識が正しく世の中に伝わるようにしました。その時のパンフレット「新太陽系図2007」は、現在でもダウンロードすることができます。
(http://www.yac-j.or.jp/kyouzai/taiyo/index.html)
●新しい太陽系のイメージ
これを受けて、新しい太陽系のイメー...