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ダーウィンが発見した「穴ふさぎのアフォーダンス」とは

「アフォーダンス」心理学~環境に意味がある(9)ダーウィンの心理学-2

佐々木正人
多摩美術大学美術学部・統合デザイン学科客員教授/東京大学名誉教授
概要・テキスト
『ミミズと土』
(チャールズ・ダーウィン著、 渡辺弘之翻訳、平凡社ライブラリー)
ダーウィンは、冬になると木の葉を利用して穴ふさぎをするミミズの観察実験を行っている。その実験でも、また佐々木正人氏が行ったカブトムシの起き上がり方を観察する実験でも、動物の行為の意味は、周囲の物と1つのシステムになろうとするアフォーダンスを示していることが分かった。(全9話中第9話)
時間:11:57
収録日:2019/03/18
追加日:2019/08/31
カテゴリー:
≪全文≫

●生涯かけてミミズと土の関係を観察、研究


 これはダーウィンの最後の著作で、亡くなった年に出された本です。日本でも翻訳が出ている『ミミズと土』という本です。

 ダーウィンはビーグル号での旅行から戻ってきた翌年に、たまたま7年前にまいた石灰の層が消えたということを聞いて、その場所に調査に行ったのです。すると、まいた石灰が地表から7センチの所に層を作っていたのを発見。ダーウィンは、「これはミミズのせいだ。ミミズが石灰の上にフンをしてそこに土が積もってそのような結果になったのだ」と思い、「土壌の形成について」という論文を書いてロンドンの地質学会で発表したのですが、無視されてしまいました。

 そこで、それから息子と一緒に延々と生涯通してその研究をしたのです。例えば、1841年から71年までの30年間、表土の黒土の重さを計量し、1年間1エーカー(1200坪)当たり8トンから18トンは、ミミズのフンと思われるものが出ているということを言っています。

 また、石がどう埋まっていくのかということをずっと観察しました。これは有名な話なのですが、ダーウィンの家の庭には「ミミズ石」というものがあり、それが毎年どれぐらい埋まっていくかということを計量していたのです。すると、35年間で3.8センチ沈んだから、この石が完全に埋まってしまうには、後何十年かかるかというようなことを書いてあります。そのような本です。

 ダーウィン亡き後、20世紀に入ってアメリカ農務省が、「ミミズは1エーカー当たり約50トンのフンをする。ミミズがかきまぜる土の量は1エーカー当たり1000トンだ」という報告をしています。この辺りから有機農法の話がはやり始めます。


●ミミズが地面をつくっている


 ここでダーウィンが観察した、ミミズがフンを出すところの映像をご覧ください。映像では、ミミズはフンをしています。

 こちらは都内で私が撮った写真です。少し気を付けて探し...
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