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「人類vs.ウイルス」の戦争とはいかなるものか

COVID-19戦時下の今できること(1)現状の把握

堀江重郎
順天堂大学医学部・大学院医学研究科 教授
概要・テキスト
新型コロナウイルス感染症への対応は、ウイルスと人類の間でなされる戦争としてみなすことができる。1人1人に何ができるかを考えるためには、現状を適切に把握するとともに、ウイルスと戦った過去の歴史を振り返る必要がある。(全5話中第1話)
時間:11:29
収録日:2020/04/02
追加日:2020/04/13
≪全文≫

●コロナウイルス感染症に、いかに対応すべきか


 みなさんこんにちは。順天堂大学の堀江と申します。私は泌尿器科で、腎臓・前立腺・膀胱の診療をしていますので、コロナウイルスのような感染症については、専門家では全くありません。ただ、私自身のキャリアの中で、実は1年間だけ、東京大学の微生物学教室の助手を務めました。そして、今話題になっていますが、国立感染症研究所の主任研究員を務めました。

 そうしたキャリアから、少しは門前の小僧的なところがあるかもしれません。そう思い、1人の医師として、このコロナウイルス感染症に対して、どのように対応するか、あるいは、今日のタイトルでもある、コロナウイルスを一種の戦争として捉える見方を提示できればと思います。人類対ウイルス、あるいは人類対疾病の戦争です。いわば、戦時下において、今、私たち1人1人に何ができるかということを、少し考えてみたいと思います。よろしくお願い致します。


●ウイルス感染は、レセプターが関連している


 コロナウイルスの感染症について、まずはご説明します。ウイルスは実際に体の中に入ってくるときには、むやみやたらに入ってくるのではなくて、レセプターという、ウイルスがくっつくタンパク質が関係します。レセプターは、肺と腸にあるということがわかっています。腸においては、おそらく風邪症状のような、下痢などの軽い症状が起こります。肺においては、ほとんどの方は軽症で済みますが、しかし重症になると、このスライドのように、急速に肺炎が進行していくことがわかっています。


●ウイルス感染症の「黄熱病」はいかに広がったか


 この人類とウイルスの戦いは、みなさんもSARSやMERS、エイズなどでご存知だと思います。しかしこれら以外で、私たちが忘れがちな2つのウイルスとの戦いを振り返ってみたいと思います。

 1つは黄熱病です。黄熱病は、日本人であれば誰もが知っている野口英世が、アフリカ(ガーナのアクラ)に行って研究をしている最中に、自らもかかって命を落としたウイルスです。黄熱病は蚊を媒体にして起こる感染症で、かかると黄疸が起きてしまい、肝臓に非常に厳しい炎症が起こります。あるいは全身の血液に凝固異常が起きてしまいます。

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