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熱を電気に変える新素材「カーボンナノチューブ」とは何か

教養としてのナノテクノロジー(8)ナノの力で熱を電気に変える

概要・テキスト
身の回りのあらゆるモノがインターネットにつながれるIoT時代の到来は、私たちにこれまでにない便利な生活をもたらしてくれる。しかし、それは同時に膨大な量のセンサーや電気エネルギーを必要とするものでもある。そこで注目されるのが、これまで使われていなかった熱を電気に変える「熱エネルギーハーベスティング」と、それを促進する新素材の「カーボンナノチューブ」だ。(全10話中第8話)
時間:13:44
収録日:2021/03/29
追加日:2021/09/09
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≪全文≫

●IoTの時代の到来とエナジーハーベスティング


 こんにちは。東京理科大学の山本貴博です。私からは、「ナノを制御して熱を電気に変える」というお話をさせていただきます。

 昨今エネルギーの問題が新聞・マスコミ等で賑わっています。「熱を電気に変える」ということですが、私たちの身の回りには使われていない熱エネルギーがたくさんあります。これを電気エネルギーに変換することで、私たちの生活に役立てようという話をさせていただきます。

 特に、小さな熱エネルギーを集める必要性がなぜあるのかというと、最近の時代背景にその理由があります。IoTという言葉をよく耳にするかと思いますが、まずIoT社会とはどういった社会なのでしょうか。15年ほど前の私たちの生活を思い返してみると、コンピュータがインターネット上でつながってきました。

 現代はどのような時代かというと、コンピュータだけでなくテレビやゲーム、そういったさまざまなモノがインターネット上にのることによって、人と人がインターネット上でコミュニケーションをとるようになりました。いわゆる、“Internet of People”の時代です。

 そして、今われわれが目指している社会であるIoT社会は何かというと、さまざまなモノとモノが直接情報を通信し合うことによって、より豊かな生活を実現しようという“Internet of Things”の社会です。

 こういった“Internet of Things”という時代を実現しようとしたときに、どういった新しい技術が必要になってくるかというと、実はモノにセンサーを付けていかなくてはいけません。全てのモノにセンサーを付けていき、IoT社会を実現しようとすると、実は45兆個ほどのセンサーを毎年交換していかなければいけないことが試算されています。

 この45兆個のセンサーを毎年交換していくのは技術的にも物質的にも無謀な挑戦です。これまでにない技術をここに導入することによって、45兆個のセンサーを動かしていこうというときに必要な技術の1つとして、身の回りにあるまだ使われていないエネルギーを電気エネルギーに変換する技術が求められています。

 これをエネルギーの収穫という意味で、「エナジーハーベスティング(energy harvesting)」といいます。今日はそのエナジーハーベスティング...
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