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激変する国際秩序や国内政治を学説や政策はどう導くか

国際変動の中の経済政策(1)20世紀の政治経済と国際変動の影響

曽根泰教
慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツTV副座長
概要・テキスト
政治や経済の舵取りに学術的な知見は欠かせないが、絶えず変化する社会情勢に対応するための学智は、実験室の中だけでは生み出されない。20世紀の欧米や日本の動向を例に取り、揺れ動く社会とそれに対応する政治と学問の関係を解説する。(全3話中第1話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:12:48
収録日:2023/03/31
追加日:2023/07/22
≪全文≫

●政治と経済は実験室の中では捉えきれない


―― 皆様、こんにちは。本日は曽根泰教先生に「国際変動の中の経済政策」ということでお話を伺います。先生、どうぞよろしくお願いいたします。

曽根 よろしくお願いします。

―― ちょうど先日、国内的な政治の話と経済学といいますか、経済政策の話を伺いましたが、今回は国際変動についてですね。

曽根 経済は真空の中で動いているのではなくて、国内政治のプロセスの中で経済政策が実行されているというお話をしたのですが、今回はそれが世界の荒波、つまり国際的な変動の波をかぶっている政治であり経済であるというお話をしたいと思うのです。

―― ますますいろいろな影響を受けてくると。

曽根 はい。複雑になりすぎるというのが1つの欠点ですが、しかし、実験室の顕微鏡の中で、フラスコの中を見ればいいというものではないということは分かっていただけると思います。


●20世紀の政治と経済~時代の荒波に影響される学説と政策の実際


―― ありがとうございます。では早速お話をいただければと思います。最初はまさに20世紀の政治と経済というところからスタートしますね。

曽根 はい。これは前の世紀ですが、ずいぶんといろいろなことが起きて、その過程の中で経済政策もどんどん変化していったわけです。その代表が第1次世界大戦と第2次世界大戦です。日本人にとっては第2次世界大戦、つまり太平洋戦争の影響とその戦後が重要なのですが、ヨーロッパ人にとってそれは第1次世界大戦と第2次世界大戦の戦間期です。特に第1次世界大戦のショックはかなりあって、イギリスのインテリたちにとっても第1次世界大戦での経験はプラスマイナス、非常に大きかったと思うのです。

 さらにいえば、ロシア革命が起きました。それから世界経済でいえば、大恐慌が起きました。その間にドイツからの賠償金の問題などがありますが、大恐慌を乗り越えるにはどうしたらいいかということです。

 そしてそれと同時に、どうしたら戦争を食い止めることが可能なのかという努力もあったわけです。国際連合が第2次大戦後にできるわけですが、国際連盟はこの大戦間にできます。アメリカは入っていないとか、これで戦争を予防することができたのかというと、やはりその反省のほうが大きいということです。

 そういう意味では、戦争の...
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