●将来、大きなリサイクルマーケットが存在
今日はこの後、質疑応答に時間を使いたいと思います。私は白金(プラチナ)のリサイクル技術の開発などの研究が得意なのですが、皆様にとってもビジネスセンスとして白金は非常に重要です。白金は自動車の排ガス浄化触媒、つまり自動車の排ガスを無害化する触媒です。自動車の排ガスを、この触媒ユニットに通したら排ガスがきれいになって出てくるといったもので、大体、自動車1台に1グラムから4グラム使います。“(自動車一台に)たった4グラムか!”と思うかもしれませんけれど、白金は、1グラムあたり数千円もしますから、皆様の高級車には、およそ2万円分の白金が使われているわけです。廃車になったらそれを回収するのですが、残念ながら、日本はあまり廃車(スクラップ)になりません。皆様は廃車した気分でいても、中古で多くの自動車が海外に輸出されてしまうのです。
日本の場合、触媒をつくるために白金を多量に輸入するのですが、中古車または新車で白金は、車に積まれて輸出されて海外に出ていくのです。実は、驚くことに、日本は白金を含むスクラップを世界中から集めまくっています。つまり、日本は一生懸命ゴミ集めをしているということです。なぜかといえば、いま(世界中からスクラップとして)集めている白金(Pt)は、将来リサイクル対象となる量が大幅に増える可能性があるからです。他には、パラジウム(Pd)やロジウム(Rh)も白金同様にリサイクル対象となる量が増える可能性があります。
白金の価格は、リーマンショックの時にガクンと落ちて、グラム2000円になりました。2000円辺りが製造コストの下限ですから、2000円が1000円になることは絶対にありません。今は製造コストがここまで(およそ3000円台)上がってきています。ですから、仮に白金が2000円に落ちたとき、皆様、絶対に買ったらいいと思います。
また、ロジウム(Rh)は、こんなに(30000円/グラム以上)高騰したことがあります。ロジウムは白金の副産物で、白金の鉱石から一緒に出てくるものですね。いずれにしても、これらの白金族金属は、10年後は非常に大きいリサイクルマーケットが存在しているということです。
●ゴミばかりつくっているという現状
価格は、需要と供給の状況によって大きく変わるのですが、パラジウムな...