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教育分野でVRが果たす役割とその応用例

VRがつくりだす未来(4)教育分野でのVRの活用

廣瀬通孝
東京大学名誉教授
概要・テキスト
2018年2月、東京大学に設置された「バーチャルリアリティ教育研究センター」では、VRの教育分野での応用が研究されている。VRは、これまでの座学による知識やスキルの注入といった教育モデルに代わり、体験によって身体的に学ぶことを可能にすることが期待されている。(全5話中第4話)
時間:19:11
収録日:2018/10/19
追加日:2018/12/22
タグ:
≪全文≫

●東京大学に設置された「バーチャルリアリティ教育研究センター」


 私自身、大学の先生ですから、VRの技術が教育や学びに関してどのような意味があるかということについて、コメントさせていただきたいと思います。

 実は2018年2月、東京大学に「バーチャルリアリティ教育研究センター」という組織が設置されました。考えてみると、VRは非常に新しい分野ですし、その刺激的なネーミングの組織を、言ってしまえば東京大学という割と古い大学の全学組織として置いたというのは、もしかしたら非常に珍しい試みかも分かりません。

 では、「このバーチャルリアリティ教育研究センターはVRの技術を教育するセンターなのですか」ということをよく聞かれるのですが、実は違います。VRという技術を使って、学生に対してどのような先端的な教育ができるかということを、いろいろと検討したり、研究開発したりする、そういった役割を持ったセンターなのです。

 これまでご説明してきたように、VRは、技術そのものとしてはすでに二巡目に入っており、むしろその技術の出口を考えるという状況に来ています。そうした認識が東京大学のどの先生の中にもあって、やはり出口が重要だろうということで、今回のようなセンターの形になったということです。

 ただ出口といっても、いろんな出口があります。前回お話したように産業的な出口ももちろんあるのですが、東京大学の持っている最大の応用の場は教育です。実際、東京大学においては、おびただしい量の講義が毎日行われているわけです。

 ですから、そこでVRがどんな役割を果たすのかということは、われわれ自身が一番良く分かっている領域ですから、そういったスタンスで研究を進めていこうということがこのセンターの役割ということになります。


●教育に果たすVRの役割は三つ


 では、VRは教育の分野においてどのような役割を果たすのだろうかということを、皆でいろいろと議論しました。それは三つほどあるということで今、進めています。

 一つ目は体験です。これまでも申し上げているように、VRの技術とは体験の技術ですから、体験というフェーズを教育の中に持ち込むというのが一つです。

 二つ目は遠隔です。前回「テレプレゼンス」についてお伝えしましたが、遠隔地にいながら体験できるということは、教育の分野においても非常に重要です。

 三つ...
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