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再生医療の3つの分類と実用化に向けた日本の課題

生命科学の現状と課題~生物研究と再生医療(4)再生医療の現在と今後

浅島誠
東京大学名誉教授/帝京大学 先端総合研究機構 特任教授
概要・テキスト
現在の再生医療においては、さまざまな幹細胞が注目されているが、その中でどのような幹細胞による再生医療が本当に導入できるのかを考えることが重要である。今回は、再生医療の現状と今後の課題について解説する。(全6話中第4話)
時間:07:16
収録日:2018/07/30
追加日:2019/01/20
≪全文≫

●再生医療は、使用する幹細胞によって3つの種類に分けられる


 ヒトの再生医療には、大きく分けて3つのものがあると、私は思っています。

 1つ目は、胚性幹細胞(ES細胞)を使うものです。これは、受精した卵が発生をしている途中で、内部細胞塊というものを取り出して試験管の中で培養する、多能性の胚性幹細胞を用います。

 2つ目は、iPS細胞を使うものです。これは、ヒトの皮膚などの体細胞を成体になった後から取り出し、京都大学・山中伸弥先生たちの研究による山中四因子というものを加えることによって、未分化細胞を作ります。

 3つ目は、体の中にある体性幹細胞を使うものです。われわれの体の中には、骨髄だけではなく、脂肪細胞やその他も含めて、頭のてっぺんから足の先まで、さまざまな未分化細胞があります。そういった体性幹細胞を使う研究もあります。


●再生医療に本当に使える幹細胞はどのようなものか


 現在の再生医療において、非常に多くのものが注目されていますが、再生医療に本当に使える細胞とはどういうものかということが重要です。

 先ほどES細胞の話をしましたが、例えばES細胞からどのような臓器ができるかというと、熊本大学の西中村隆一先生たちの研究では、未分化細胞であるヒトのES細胞から、腎臓のもとになるものを作ることができました。西中村先生はアクチビンとレチノイン酸を加えることによって、最終的に腎臓を作りましたが、これは、われわれがカエルでやったことと原理的には同じやり方で、ヒトの腎臓ができたということです。

 先ほど、私たちの体の中には、大人になった後でもたくさんの未分化細胞があると言いました。私は、これを使うことも今後の再生医療の1つの方向ではないかと思っています。

 例えば、脳の細胞は18歳~20歳くらいまでどんどんと増えるけれども、その後には死滅するだけで増えないと、われわれはこれまで高校や大学などで習ってきました。ところが、現代科学で分かったのは、われわれの脳の中でも記憶に関わる海馬の細胞などは年老いても分裂しているということです。

 このように...
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