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少子高齢化時代に考えるべきがん対策

がん対策の現状と今後(5)少子高齢化時代のがん対策

門田守人
日本医学会 会長/地方独立行政法人堺市立総合病院機構理事長/大阪大学名誉教授
概要・テキスト
少子高齢化社会を見据え、がん予防を社会全体の問題として考えていく必要がある。10年のがん対策推進基本計画を経て見えてきた、国民それぞれが考えるべき課題について、門田守人氏の提言を聴こう。(全5話中第5話)
時間:14:31
収録日:2018/09/10
追加日:2019/03/01
カテゴリー:
≪全文≫

●がん対策の10年


 最初期の10年は、そういった意味でがん医療に関して、どんどんと進展しました。しかし、周辺のさまざまな社会体制、社会のシステムづくりに関しては大きな変化がありませんでした。対策が十分いかなかったということが、10年を一応の総括としていえるのではないかということです。

 ということで、過去10年のがん対策について、うまくいった点とうまくいかなかった点があったという話をしました。


●第3期がん対策推進基本計画へ向けて


 ではその次、これからの5年として第3期の基本計画をどうするのかということなのですが、私は2011年から2017年の6月まで6年間務めました。任期中、その次の第3期の基本計画案を作成するということもやってきたわけです。

 その時にディスカッションしたことは何かというと、前回までのお話の中でうまくいった点とうまくいかない点があったと申し上げました。

 うまくいった点は、どちらかというと、いわゆるがんの医療、つまり医学的な面で、病院単位でどう考えるかという点はうまくいった方です。ただしかし、予防、あるいは検診という、社会が何とかしなければいけないということは少し遅れました。

 そうすると、今は第3期ですが、「第3期は違う」と私は言いました。どういうことか、説明します。

 第1期と第2期は5年と次の5年で計10年となりますが、それは5年が1回、2回、3回、4回…と続くという話ではなく、また5年ではまだまだ途中で10年たってどうだったかということです。つまり、死亡率を20パーセント減少させるという話もそうですが、10年という単位で物事を見ていくならば、10年が終わって、新たな10年が始まるということで見直す必要があるということです。私は第3期というよりも10年たった今、われわれはどう考えるのかということを問う必要があると思うのです。

 というようなことから、前回までに話をした予防、あるいは検診といった、世の中全体で対策が遅れているということを、何とかしなければいけないということです。

 その他の医療については、意外と進んでいくという話をしましたけれども、結局10年たってその駄目だったところ(対策が遅れているところ)がはっきりしたのであれば、次の10年はそのことをどうするかというのが、今から私たちがすべきことではないでしょう...
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