●必然だったマイクロソフトのAI開発
―― ここでマイクロソフトが出てくるというところでございます。
―― マイクロソフトは、そもそもAI開発をどのように進めてきたのか、ということですね。
桑原 そうですね。マイクロソフトや、ほかのアップルやアマゾンもそうですけれど、AIについては開発しなければいけないというのは当たり前のことで、この時に、人々と社会に利益をもたらすためのAIパートナーシップというものを結んで、邪悪な方向にいかないということには、一応の合意はしているのです。
マイクロソフト自身は、思うように開発が進まず、明らかにグーグルが先行していて、またOpenAIもできているし、この時のマイクロソフトのサティア・ナデラCEOにいわせると、検索エンジンとかクラウドで、マイクロソフトはグーグルやアマゾンに完全に置いてきぼりを食らって、アップルのジョブズにはスマートフォンを作られたことによって、そこも牙城が崩れてしまったわけです。そういった失敗が続いた中で、またAIで失敗をしたらとんでもないことになるということで、サティア・ナデラがこれに賭けるというのは、ある種必然だったということです。
●マイクロソフトを復活に導いたサティア・ナデラ
―― そのナデラがどういう人かということですね。
桑原 サティア・ナデラ自身は、インドで生まれて非常に優秀な人なのですけれど、大学まではインドで過ごして大学院からアメリカに行きます。最初に就職した会社はサン・マイクロシステムズです。
当時でいえば、マイクロソフトがまだWindows 95を出す前の段階で、当時ライバルという言い方をしていいのかどうか分かりませんけれど、サン・マイクロシステムズに入社して、そこにナデラは2年間いるのです。その時にマイクロソフトから引き抜かれる。エバンジェリスト、いわゆる営業社員といってはいけないのでしょうけれど、大手企業に対して自分のところのOSソフトがどれだけ優秀なものかを説明して、それをある程度売ったり、というビジネスです。そういったことで引き抜かれて、そのあとやったのが、全部マイクロソフトが遅れを取っている分野です。
検索のBingであったり、クラウドのAzureといったところの責任者になって、それまでのWindows頼みのマイ...