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昭和の常識は非常識…令和の世ではマイクロアグレッション

メンタルヘルスの現在地とこれから(2)職場のコミュニケーション

斎藤環
精神科医/筑波大学名誉教授
概要・テキスト
時代に伴ってコミュニケーションは変化する。昭和の時代、職場では今でいうハラスメント(パワハラ、セクハラなど)的なコミュニケーションをよく見かけたが、現在では「マイクロアグレッション」といわれる、本人も自覚しない微妙なマウンティングさえも、積もればストレスを与える行為と非難される。ではどのようにコミュニケーションをとっていけばいいのか。令和のコミュニケーションについて伺った。(全6話中第2話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:10:22
収録日:2024/04/17
追加日:2024/06/22
≪全文≫

●「マイクロアグレッション」への注意が必要


―― 冒頭では、いわゆるハラスメント(パワハラ、セクハラ等々)のお話をされました。これが非常にまずいものであることはもちろん言うまでもないかと思いますし、そのあたりの認識は皆さんにかなり広まっているとは思います。ただ、そのグレーゾーンというか、ハラスメント以外のところでどう付き合うかということも含めて、下の世代も上の世代も困っていらっしゃる。ケースにもよると思いますが、何か留意すべきことはあるのでしょうか。

斎藤 一つは、最近出てきた言葉ですが、「マイクロアグレッション」という言葉があります。例えば、ハラスメントまでは行かないけれど、微妙にマウンティングしてくるなど、ちょっとした小さい攻撃性のようなことが端々でしょっちゅう出てくるタイプの上司がいると思います。そういうものが積もり積もると、ハラスメント同然のストレスになってしまいますので、その辺を考慮していく必要があるかと思っています。

―― しかし、やっているほうは、そこについてはほとんど無自覚ですね。

斎藤 そうですね。やっているほうは無自覚で、さすがにセクハラ、モラハラに関しては周りも指摘しますから気づきやすいのですが、もう少し微妙なレベルの攻撃性に関してはいちいち指摘されませんし、ほぼ性格と一体化しているところがあったりします。そのため、なかなか修正がきかないということがあって、難しいところかもしれません。

―― その典型的な例というか、どういうパターンが一番そういうものにあたりそうですか。

斎藤 そうですね。嫌味でしょうか。しょっちゅう嫌味めいたことを言うなどですね。

 同じことを伝えるにしても、微妙に嫌味を絡めてくるような言い回しですね。そういう感じで言われてしまうと、それが積もり積もってストレスにつながってくるでしょう。正面切ってのハラスメントとは少し違いますが、その辺についての配慮がこれからは求められてくるかと思います。

―― 例えば昔話的なことですね。「俺が若かった頃は」とか。

斎藤 自分がね。そういうのもそうです。

―― 「仕事というのは、そういうものだろう」といった話なども、やはりその範囲に入ってきてしまうということですか。

斎藤 来ると思いますね。その例として、ドラマで『不適切にもほどがある!』というものがありましたが、あれには...
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