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ハラスメント防止のためのセキュアベースリーダーシップ

ハラスメント防止に向けた風土づくり(4)ハラスメントを予防するリーダーシップ行動

青島未佳
一般社団法人チーム力開発研究所 理事
概要・テキスト
ハラスメントを予防するリーダーシップ行動として、「セキュアベースリーダーシップ」について学んでいく今回。セキュアベースとは日本語で「安全基地」と訳される概念のことだが、心理的安全性と非常に近い概念であるため、セキュアベースでないリーダーの特徴を参考にすれば、改善すべき点が見えてくる。リーダーは自分が部下に与えている影響に気づいているか。また、自分の感情をコントロールできるか。大事になるのは、人間誰もが陥りやすいバイアスを知識として認識しておくことである。(全5話中第4話)
≪全文≫

●心理的安全性を高める「セキュアベースリーダーシップ」


 今日はリーダーシップのお話をしたいので、心理的安全性を高めるリーダーシップとして「セキュアベースリーダーシップ」のご紹介を簡単にしたいと思います。

 前回の(テンミニッツTV)収録の時に、心理的安全性を高めるためには「セキュアベースリーダーシップ」が必要だとお話をしました。セキュアベースリーダーシップとは何かというと、ここに書かれたように「守られているという感覚と安心感を与え、思いやりを示すと同時に、ものごとに励み、冒険し、挑戦を求める意欲とエネルギーの源となる」リーダーで、それを「セキュアベースリーダーシップ」と呼んでいます。

 セキュアベースは、日本語にすると「安全基地」という概念で、愛着心理における安全基地の重要性を提唱したメアリー・エインスワース氏による概念です。子どもが発達する過程においては、このような安全基地が必要であり、こうしたものがないとなかなか物事に挑戦はできない。このように、「セキュアベース」という概念は非常に心理的安全性と近しいので、前回私はセキュアベースリーダーシップを紹介させていただいたわけです(編注:「チームパフォーマンスを高める心理的安全性」6~7話目参照)。

 今の日本企業が忘れているのは、やはり挑戦よりも思いやりや安全でしょう。リーダーのリーダーシップ行動として、このようなところが少し置き去りにされてしまっているからこそ、ハラスメントや組織の中の不穏な行動が起きやすくなっている、と考えられるかと思っています。

 前回は、セキュアベースリーダーシップの特性としていくつかを挙げさせていただきましたので、今回はセキュアベースリーダーシップのポイントをいくつか挙げています。これら1から12が、われわれの提唱したいセキュアベースリーダーシップの項目です。特にハラスメントを予防するという概念に大事なポイントは1と4だと思います。

 1は「部下を人として受け入れる」といいというところです。部下のことをあまりいわゆる「評価」せず、まずは「ありのままの人間」として見ていこうという思考性のことをいっています。

 4は「冷静でいる」です。これは前回も少しお話ししたかもしれませんが、プレッシャーを受け...
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