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『自殺』の執筆を奮い立たせたのは東日本大震災

末井昭、「自殺」を語る(2)悼む心から広がる輪

末井昭
編集者・作家
概要・テキスト
津波の影響で泥水が堆積している仙台空港(2011年3月13日、宮城県名取市)
編集者・作家の末井昭氏が『自殺』執筆を依頼されたのは2010年。なかなか踏ん切りのつかなかった氏を奮い立たせたのは、2011年の東日本大震災だった。毎月ブログで連載し、やがてツイッターで読者と直接やり取りをするようになる。そのことは、読者にとっても著者にとっても救いをもたらすものだった。(2015年6月16日開催日本ビジネス協会JBCインタラクティブセミナー講演「私が『自殺』を書いた理由と“生きづらさ”を取り除く方法」より、全6話中第2話目)
時間:10:12
収録日:2015/06/16
追加日:2015/07/27
カテゴリー:
≪全文≫

●「面白い自殺の本」執筆をめぐる違和感


 最初のうちは、自殺のことを本にしたり、そのための原稿を書くことに対して、どうも自分の中で踏ん切りがなかなかつきませんでした。しかも、出版社からの依頼が「面白い自殺の本を書いてくれ」という話だったために、「自殺=面白い。えっ?」みたいな感じで、結び付かないのですね。

 結び付かないままにいろいろ考え、時々出版社の方と打ち合わせをしたりしながら、だらだらと1年ぐらいが過ぎてしまいました。こちらから断るでもなく、書くでもない感じで引き延ばしていたわけですが、申し訳ないと思いながらもやはりなかなか踏ん切りがつかなかったのです。


●東日本大震災が『自殺』を書くきっかけに


 依頼されたのは2010年の4月ぐらいで、それから1年ほどがたち、東日本大震災が起こりました。それが、私が書くきっかけになったのです。

 ですから、『自殺』の第1回目は「地震と自殺」というテーマで書きました。何を書いたかというと、大震災の日に自分が何をしていたかということです。ただパチンコをして麻雀をしていたので、不謹慎ともいえる内容ですね。

 でも実際に、東日本大震災の惨状というものは、その時にリアルタイムではとても分からなかったということがあります。テレビを見ていると、断片的に映画の1シーンのような映像が流れて、「あ、すごいな」と思いました。仙台の空港を津波が襲い、滑走路に波が来る映像などを見ると、「あ、すごいことになっているんだ」と思いながらも、結果的に何万人もの人が亡くなるような災害になるということは、その時点では分からなかったのです。

 しかし、報道を見ていくうちに、だんだん自分も何かしないといけないという気持ちになりました。頭の中に「自殺」の話があったので、なんとか自分も人の心に届くようなことをしたいという気持ちが生まれ、書くきっかけになったのです。


●ブログとツイッターへの反響に支えられて


 そこで2011年の5月から、月に1回更新するぐらいの頻度で、ずっとブログを書きました。毎回、担当の編集者と打ち合わせをして、次のテーマを決めて書くというような形で書き続けたわけです。

 その半年後に私はツイッターを始めます。ツイッターでブログの更新情報を載せると割に反響があって、読んでくれている方がとても多いと分かり、励みになりました...
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